血溜まりの場所の形は、やはり渋谷同様の柄杓(ひしゃく)型の形に形成されているように思えた。


それにどんな意味があるのかを考える前に、私は頂上を見据え直す。


今度は逃がすものか!!!


居る。


感じる。


この瘴気。

この禍々しさ。


今日こそ…

身包み剥いでやる!!!


例え私の目に黄色い蝶が映らぬとも、それを操る元凶が見えるのなら、それだけで私には十分だ!!!



行き着いた高層ビルの頂上。


居た。


黄色い外套を纏った、青白い仮面を被った男。


腕を組んで下界を見下ろしている。


以前よりも、大きく感じた。


変な汗が滲んでくるのは…私がこの男の瘴気に押されているからなのだろうか。


黄色い外套男が、ゆっくりと私を見た。

仮面越しに放たれる、突き刺さるような視線。


凶々しい…その視線。


同時に私は飛んだ。


「逃がさないッッ!!!」


放射状の糸の網を放つ。


上から、横から…。



糸は瞬時に男を…きつく縛り上げた。



「お前の負けだッッッ!!!」



裂岩糸が男の仮面を捉え、



そして――




カラン。



仮面が地面に落ちた音がした。



同時に――


頭を覆っていた黄色い頭巾(フード)が後方にずり落ち、中に隠されていた髪が露わになった。




目の前で…風に揺れたのは…





「――…え?」




――橙色。





真紅色の瞳をした――




「煌!!!?」




私の"探し犬"だった。