その時だった。
『黒い星が昇り、見慣れぬ月が
いくつも空を巡る不思議な夜
されどさらに不思議なのは
失われたカルコサの地』
そんな…合唱が聞こえたのは。
咄嗟に渋谷でのことを思い出す。
煌と共に109の屋上に上った時もそうだった。
突如…歌は始まったんだ。
そして天を仰げば――
竣工したばかりビルの上から――
落ちる。
落ちてくる。
白い…
白い…
女達。
築かれていく。
目の前に、屍の山。
地面に叩き付けられ、血飛沫と…肉片を飛ばし、最早人型を保てなくなってしまった…血色の肉の塊。
地面に大きく皹を広げさせて、次々に血色の防波堤は築かれていく。

