「ドラゴンヘッド!!?」


私は、あの記号のことを聞いてみた。


『ああ、確かにそれは占星術でいう処の、ドラゴンヘッドを示すマークだな』



偶然?

必然?



「同名、同日生まれで、同じ占星術(ホロスコープ)を持つ"別人"の可能性は?」


『……。占星術(ホロスコープ)というものは、天体配置が示す運命表のようなものだ。双子ですら、同時に取り出されない限り、同じモノにはなりえない。だから基本、余程運命的な因縁がない限りは同じにはあり得ない』


運命的な因縁…。


『…羅侯(ラゴウ)、そういえば楓の占星術(ホロスコープ)にもあったな。関連性が…あるのか?』


七瀬紫茉は何かを考えているらしかった。


『芹霞を1人にさせるな。今芹霞は…玲と居るのか?』


「恐らくは…。お強い玲様が居れば、大丈夫だとは思うけれど…」


玲様は、煌のように感情に左右されて、置かれた状況が見えぬお方ではないから。


そんなことがあれば――

嵐でも来てしまうだろう。



『あ、やばい。人が来た。桜、悪いが切る。

――くれぐれも芹霞を頼む』


電話から、ツーツーという通話終了の音が聞こえてきた。


櫂様。


芹霞さんは…黄色い蝶だけではなく、他にも…巻き込まれているようです。


私は、大きな溜息をついた。



その時。




『では参りましょう。今週の1位!!

Zodiac…"ドラゴンヘッド"ッッ!!』



そんな大きい声が聞こえて見渡せば、路肩に停まっている車からで。


ラジオか。


寒いのに窓全開の車の中から、

そして機械的な音楽が流れてきた。