シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
「ないわよ、買ってない」


すると久涅の顔が不機嫌になっていく。


「何であたしが久涅に買わないといけないの?」

「何で玲には買うんだ?」


同列に考えているのが面白い。


「あたしはそんなギラギラした金は嫌いだし「買おうとしてなかったんだな?」


「第一あたし貧乏だし「全然考えてなかったんだな?」


「ううっ…「買ってないなら…」


久涅は右手を出した。


「???」


「お前の服切り裂いて、俺の手首に巻き付けろ」


多分――

あたしの眉間には深い皺が寄ったと思う。


「それで許してやる」


「許してやるって言われても…大体これ、高価な服だし」


「どうせ玲から貢がれたものだろうが」


「貢ぐって…違うわよ!!! あたし分割払いを頼むんだから!!」


そう言ったら、久涅に爆笑された。


「やはり欲しいな…」


「あたし…あんたの趣味についていけないかも…」


チンピラ紛いだし…。

アクセサリ…ぎらぎらだし。

それなのに…布?

布巻きつけて嬉しいの?


「今つけてるこれは――

身を守る虚飾だ」


「はい?」


「だから俺は……」


また手首を見せる。


「お前からの…真実の"想い"で守られたい」