シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



"血染め石"


心臓が波打ったのは、きっとその名前のせい。


「ま、また…凄いお名前の守護石で…。どんな石? いつも携帯してるんでしょ、見せてよ」


「……。無い」


「え? 無くしたの?」


「違う。奪われたんだ」


そう、何故かあたしを睨みつけてきた。


「誰に?」


「俺と…同じ天体配置を持つ奴に」


天体配置?


「吸い取られたんだ。俺の人生は」


「は?」


何を言っているのかよく判らん。


久涅は、玲くんのバングルを指で触りながら、薄く笑った。


「お前からは銀の…月長石のバングル。で、玲は何百万のダイヤか何かの指輪を買おうとして、その価値観の違いに仰天したお前が飛び出してきた訳か」


「そうなの。

――…って、何であんたがそれ知ってるの!!?

というか、何百万の指輪!!!?」


「何だ、知らずにあの店に入ったのか」


あたしはぶんぶんと縦に頷いた。


そりゃあ…彼氏さん、青ざめて震えるわ。

というか、よくそんなの強請(ねだ)れるね、彼女さん…。


此の際、久涅がストーカーしていたことは不問だ。


玲くん…何を買おうとするのよ…。


世間知らず?

ただのセレブ?


益々溜息しか出てこない。