シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
「え…何で此処に? あ、デート中?」


きょろきょろ探すが、久涅の近くに女性の影はいない。


「何が暢気に"あ、デート中?"だ、この阿呆がッッ!!!」


怒鳴られた久涅に――


「――!!!?

な、なにひゅんの~!!!」


両頬を思い切り横に引っ張られた。


「いひゃい、いひゃいッッ!!」


苛立った端正の顔。

その行為。


何かが記憶を刺激したけれど…直ぐに消えた。


多分――朱貴を思い出したんだ。



「こんな男を漁るような格好して化粧して、いい年して玲とべたべたべたべた…羞恥という言葉を知らんのか、このミジンコ脳…いやミジンコで十分!!!」


カチン。


「ひゅうひ!!? くひゅみにいふぁれひゃひゅなひ。みじんほなんへ、ひひゅれーな」


「きっちり発音しろ!!! 歯抜けのババアが」


カチン×2。


「あらひはまら、ひしひしろ、ひゅ~ななひゃい、へ・ふ・ッッ!!!」


「だからきっちり発音しろッッ!! 何が"あたしまだ、ぴちぴちの、17歳、で・す"だ!!! お前はただ歳食ってるだけのミジンコだッッ!!!」


きっちり聞こえてるじゃん…。


「何でお前はこの時期に、玲から離れて1人になってのこのこのこのこ…。おかげで俺が出てくる羽目になったじゃないかッッ!!!」


んんん??


この人、何に怒ってるの?