シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


何だか心が痛い。


いままでくっつきすぎていただけに、離れたら…あの温もりが恋しくて。


だけどそれを求めたら駄目だと思う。

その線引きはきちんとしなきゃ。


そして玲くんと、新たな関係を築いていこうと思った。


世界が違っても…絶縁だけはしたくはなかった。


あたしは玲くんが大好きだ。

恋人として近くにいれなくても、理解者として傍にいれたらと思う。


あたしが玲くんという存在を理解しきれていないというのなら、もっともっと玲くんを理解したいと思った。


多分、それすら図々しいことなんだろうけれど…影ながらでも、玲くんの危機には駆け付けられる存在でいたい。


あたしは今まで、玲くんから多くの愛情を貰ったから。

それを返すのは…道理だと思う。


それだけは許して貰いたい。



そんな時、



「ねえ彼女~フラれちゃったの~?」



何とも軽薄そうな男がへらへら笑って、勝手に隣に座ってきた。



「実はさ、俺もそうなんだよね~。失恋で傷心なんだよね~」



失恋…なんだろうか。


確かに、喪失感はあるけれど。


「傷心者同士…慰め合わない~?」


と、肩を抱いてきた。


ぞわぞわと鳥肌がたったあたし。


瞬時に発動される怒りの鉄拳――


のはずが。



「失せろッッ!!!」



突如割り込んだ…空気を震わす怒声に、殴る対象を無くしてしまった。




「付け入る隙を見せるな、小娘」




軽薄男を威嚇だけで追いやったのは…





「久涅…?」





間違いなく、紫堂久涅だった。