シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
人の波を押し分けながら、あたしはただ闇雲に走った。


駄目だ。


玲くんと仮に始めても、終焉を迎える。


そう思えて仕方が無かった。


ドウシテアキラメルノ?


これ以上は駄目だ。


以前とは環境が変わったんだ。


ドウシテネガティブナノ?


怖いんだ。

終わることが怖い。


怖くて仕方が無い。


ナニヲオソレルノ?


自惚れすぎていた。

楽観視しすぎていた。


あたしは――

玲くんを理解出来ていない。


そして――

いつまでも今まで通り…ぬくぬくと心地よい腕の中で守って貰えると…勘違いしていたようだ。


現実は刻々と変化する。

運命の環は回り続けている。


変わらぬ確かなものなどないのに、変わる不確かな物に…夢を見すぎていた。

現実逃避していた。


ナンデ?


大体あたしは――

守られる側の女じゃない。



――…ちゃあああん!!!



玲くんには玲くんに相応しい女性が居る。


そしてあたしには。

あたしに相応しい男性が居る。



言葉が無くても解り合えるような。

環境が変化しても、変わらないような…。


きっとそんな相手こそが、"運命"。


"永遠"。



それは――

きっと玲くんじゃない。



玲くんとは会わない方がいいかもしれない。


今までの思い出のままでいる方が、こんなに絶望感を感じないから。



せめて玲くんが、紫堂の次期当主でなければよかった。


そう思うけれど…


玲くんは玲くんの道がある。


それが、あたしの道と交差しなかっただけのこと。


玲くんだって、月日が経てば…きっと違う女性を見つけるでしょう。


こんな小娘、一時の気の迷いだったと…やがて玲くんも気づくでしょう。


あたし達は近くに居すぎただけ。


傷は浅い内に…

こんな茶番はやめましょう。



"お試し"は――

もうおしまい。


続ける意味がない。