人の波を押し分けながら、あたしはただ闇雲に走った。
駄目だ。
玲くんと仮に始めても、終焉を迎える。
そう思えて仕方が無かった。
ドウシテアキラメルノ?
これ以上は駄目だ。
以前とは環境が変わったんだ。
ドウシテネガティブナノ?
怖いんだ。
終わることが怖い。
怖くて仕方が無い。
ナニヲオソレルノ?
自惚れすぎていた。
楽観視しすぎていた。
あたしは――
玲くんを理解出来ていない。
そして――
いつまでも今まで通り…ぬくぬくと心地よい腕の中で守って貰えると…勘違いしていたようだ。
現実は刻々と変化する。
運命の環は回り続けている。
変わらぬ確かなものなどないのに、変わる不確かな物に…夢を見すぎていた。
現実逃避していた。
ナンデ?
大体あたしは――
守られる側の女じゃない。
――…ちゃあああん!!!
玲くんには玲くんに相応しい女性が居る。
そしてあたしには。
あたしに相応しい男性が居る。
言葉が無くても解り合えるような。
環境が変化しても、変わらないような…。
きっとそんな相手こそが、"運命"。
"永遠"。
それは――
きっと玲くんじゃない。
玲くんとは会わない方がいいかもしれない。
今までの思い出のままでいる方が、こんなに絶望感を感じないから。
せめて玲くんが、紫堂の次期当主でなければよかった。
そう思うけれど…
玲くんは玲くんの道がある。
それが、あたしの道と交差しなかっただけのこと。
玲くんだって、月日が経てば…きっと違う女性を見つけるでしょう。
こんな小娘、一時の気の迷いだったと…やがて玲くんも気づくでしょう。
あたし達は近くに居すぎただけ。
傷は浅い内に…
こんな茶番はやめましょう。
"お試し"は――
もうおしまい。
続ける意味がない。

