シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


可哀相に…、金の切れ目が縁の切れ目か。


あのカップルにも、別れが来たようだ。


そんな時、ドドドと集団でカップルがやってきて、あたしと玲くんの手は解かれ、あたしは隣の部屋に押しやられた。


「大丈夫だから、玲くん!! そっち行くからね!!!」


心配性の玲くんにそう声をかけ、そして態勢を立て直せたのは…雰囲気ががらりと変わったブースで。


シルバー商品ばかり陳列している場所だった。


そこにはお手頃価格の値札が掲げられていて、先程暗雲立ちこめたカップルも覗き込んでいた。


無論、彼女さんは不機嫌だったけれど。


玲くんの処に戻ろうとしたあたしは、ふと1点に釘付けになった。


月長石(ムーンストーン)が埋め込まれたバングル。

華奢のように見えてしっかりした…男性用。


玲くんがしたら…似合うかも。


値段を見たら…何とか手持ち金で賄える。


あたしは玲くんに、いつもの感謝を込めて何か贈り物をしたかったことを思い出し…このバングルを購入することに決めた。


一目惚れ、即決だ。


「プレゼント用ですか?」


突然店員さんに声をかけられ、ひっくり返った声で返事をする。


『幸せを呼ぶ店員(感謝用)☆』


胸にプレートが掲げられている。


「彼氏さんに…プレゼント用の包装ですね?」


彼氏さん…。


ぼんっ。


顔が赤くなり俯きながら、あたしはただこっくりと頷いた。


プレゼント用の包みは青かった。


更にはデカデカと…


『My Darling

I Love You!!!


CHU CHU CHU~』


どぎついリアルな唇がプリントされたシールに描かれている。