更には――…
『幸せの配給者2(確認用)☆』
今度は青いワンピースの可愛い女の子が、籠に細長い何かを入れて配っていて。
――あと1つなんです。貰って下さい…。お願いします。
泣き出しそうな声で。
靴はぼろぼろで、殆ど素足のような状態で。
まるでマッチ売りの少女みたいに可哀相に思ったあたしは、その子に話しかけた。
――お姉ちゃんに頂戴?
すると少女は、泣きながら笑った。
籠に1つあったのは、携帯用香水瓶(アトマイザー)。
――ありがとうお姉ちゃん。かけてあげる。
そう…携帯用香水瓶(アトマイザー)を手にした途端。
何かをずっと考え込んでいた玲くんは、ひょいとそれを取り上げて、通り過ぎようとするカップルの…女性の腕にいたプードル犬にシュッシュとかけた。
すると――
――きゃあ、ポンタ!!! 私に盛らないで!!! 私は飼い主よ!!!
それはまるで煌が襲いかかるような勢いで。
驚いて四つん這い状態となって逃げだそうとした女性に、突然発情した子犬は、子犬らしからぬ…雄々しい動きで、卑猥に腰を振り始め、制しようとした彼氏に噛み付いていた。
その生々しい光景に、再び固まるあたし。
気づくと、薄倖の少女は居なかった。
――ちっ。同情誘うような格好の子供まで使って…媚薬入りの香水、寄越すなよ。
玲くんが何かをぼやいたけれど、よく聞こえなかった。

