「ぐっ…。痛い処を突くね、君は…」
「出来ないならやれば? お前…ずっと働き通しだったんだから。息抜きくらいすれば?」
そして上げられた瑠璃の瞳。
久遠は…少し変わったんだろう。
"優しく"なった気が…
「此処には5日も惰眠を貪った自堕落な死に損ないもいるんだから。全てはそいつが原因なんだから、後は全部そいつに任せて楽しろよ」
――訂正。
俺以外に、優しい言葉で…悪の道に誘惑しようとしている。
もっともっと楽に。
快楽主義の悪魔か、こいつは。
『自堕落とはお前のことだろう』
途端変わる紅紫色。
俺が打った画面を見ていたくせに、無反応を装っている。
「由香ちゃん、見たい~」
旭が叫び、
「戦闘!!? 格闘!!?」
司狼の顔が活き活きと輝いた。
「え、ええ!!? でもさ…」
ちらっ。
遠坂の意味ありげな眼差しが、俺に向けられた。
「師匠の居ぬ間に洗濯は…」
ちらっ。
「さすがにさ、気か引けるし…今、それどころじゃないんだし」
ちらっ。
「30分くらい、全員が休憩とればいいんじゃないか? 何か打込むのなら、私が代わって打込んでやる」
蓮の補佐。
「だけどさ、紫堂が一生懸命働いているのにさ…」
ちらっ。
「今までぐーすか寝てたんだ、当然だろ。やらせとけ」
久遠の腹立たしい言葉。
「でも…」
ちらっ。
俺は――
天井を見上げながら、大きく溜息をついた。
そして画面に打込む。
『30分、休憩』

