「おい、司狼と久遠ッッ!!」


遠坂が叫んだ。


「…ボクは年に2回しかない、全国格闘ゲームオンライン大会を我慢しているというのに、君達はさっきから好き勝手なことばかり!!! もっとやる気を出せッッ!!!」


遠坂がぴりぴりしていたのは…そんな理由?


「ああ、くそっ!!! 今回は師匠が出場出来ないだろうから、ボクが全国1位を初めてとれるチャンスだったのに!!! 何処ぞの名もなき奴に1位を譲る羽目になるとは!!! 次回だったら、絶対師匠も見逃さないだろうし…万年師匠が優勝、ボクが準優勝かよ…。ボク…色々技を仕込んで育成してきたのにさ…」


その落ち込み様は酷く。


どうやら日頃、オンラインのゲームよって対戦経験を積んだキャラで、大会で強さを競い合うらしかった。


そういえば以前もそんなことを聞いた気がする。


「師匠は、力使わなくても…裏奥義連続で瞬殺してくるから、折角対抗策を考えていたのにさ…。何で力なくても、誰も知らない裏奥義連発できるのかそこが謎なんだよな。プログラムでも直接見て、その穴を研究しているのかなあ。時々難しい顔をして、0と1の羅列見ていることがあったけれど…」


玲…。

お前、日頃何をしているんだよ。



「次は…半年後か…。せめてアニオタゲーマーの名にかけて、1度は師匠に勝ちたいなあ…」


そう遠坂がぼやいた時。




「やれば?」



久遠が顔を上げずにそう言った。



「丁度大きい画面もあることだし、そこでネットも繋がるんだし。遠慮しないでやればいいじゃないか」


カサ。


久遠が頁を捲ったらしい。



「でもさ。"一部"のネットは繋がるのに、師匠との"取り決め"通りにコトが進まない原因を追及しないと…。幾ら何でもさ…」


「ゲームを我慢したら、解明できるのか?」



カサ…。


また久遠が頁を捲った。