だから俺は、遠坂に指示して…翻訳プログラムを作らせた。


要は、規則性を持たせてラテン語にさえ変換出来れば、俺も久遠も解読出来る。


後は原文をコンピュータに取り込めれればいいだけだ。



スキャナ兼OCR(光学式文字読取装置)を…玲の言うがままに設置しておいてよかったと思う。


玲は、貴重な各務の蔵書に感動し、是非電子化して永続保存を願っていたらしい。


そして彼の調査の参考資料にと、私設図書館として、いつでも引き出せる準備を整えていたらしかった。


だがいつまでたっても資料データが来なかったのは…単純に、玲が電子化のやり方を教え込んだ司狼と旭が、仕事をしなかったからだ。


埃被っていたそれを今、2人にさせている。




ウィーーーン。


「面倒クサ。眠くて仕方が無い」




ウィーーーン。



「きゃははははは」



対照的な反応により、幾らか本は片付けられていく。




ウィーーーン。


「由香~。もういいだろ? 後はお前やれよ~」



始まって、15分。


司狼の愚痴は止まらない。



「いいかい、司狼。外界のスキャナは、こういう綴じ本はコピー機みたいに1頁ずつ伏せてとらないといけないのに、それを師匠の改造で、その高速ハンディスキャナのボタン1つで、2枚いっぺんに数秒で読み取れて、自動的にOCR化するんだ。そこまで簡略化して貰って、文句を言うな!!!」



ウィーーーン。


「蓮~。変われよ、お前何も仕事してないだろう?」



「失礼な。取り込む本を仕分けしてお前に渡し、無関係な本は棚に戻しているのが判らないか!!! その上お前達に飲み物までも用意したんだぞ!!?」



ウィーーーン。


「紫堂櫂~。お前暇そうだよな」


何で俺だ?


暇なのは、どう見てもお前の主だけだろうが。


そう久遠を睨み付けて促せば、


「何」


紅紫色の瞳が、不快そうに細められて。


更には――



「さっさと仕事をしろ、紫堂櫂。いい年してサボルな」



そしてまた、官能小説を読み耽る。