シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



と思っていたら、反対側からも…またラテンダンス。


ふりふり、くねくね。


2組のダンサーは、艶めかしく僕達を取り囲む。


ここまで執拗に迫るのであれば…猥褻罪にならないのだろうか。

そして腰に小さくプレートが。



『幸せの踊り子(煽り専用)☆』


何だこの、胡散臭いプレートは。


煽り…専用…?


僕の気分は益々降下してくる。


更に…。


サービスの一環なのか、ノリなだけなのか…女性ダンサーが後ろから芹霞の腰を両手で掴み、同様な腰フリを強要させたんだ。


「や、やあん」


強制的だとはいえ、女性相手とはいえ…嫌がる芹霞から漏れた…男をソノ気にさせそうな声とその腰の動きに、誰もがいやらしい顔で芹霞に振り返るのを見て、体温が急降下した僕は――


「死にたい?」


今日、一番の殺気を送った。


途端に蒼白となったダンサーは、すぐに消え去った。



「S.S.Aって凄いトコだ。はあ…」


芹霞は四つん這い状態になって、地面に膝をついた。


僕は苦笑して芹霞を立たせた。


そしてぽんぽんと、コートの汚れを落としてあげながら…


「れ、玲くん?」


先程の芹霞の声と動きを、必死に考えるまいと堅い顔をしていたらしい。


「玲くん…ねえ」


つんつんと裾をひかれて、ようやく僕はいつものように笑う。


「いや、何だか凄く辛そうな顔していたから。体調悪いのかなって」


辛そう…ね。

君は本当に、肝心な部分には疎いのに、気づいて貰いたくないことには聡いよね。