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僕は揚々として、恋人繋ぎで芹霞と歩く。
芹霞はまだ慣れないらしく、周囲の熱にアタり続け、まるでしゃっくりのように"ひっ"の連続だ。
「玲くん…ねえ場所を…」
「駄目」
先刻からの変わらぬ芹霞の要求を、即座に却下し続ける僕。
終には逃げ出す姿勢を見せ始める芹霞を、僕は繋いだ手を離さず、逆に強く引き寄せる。
「玲くん…余りに凄すぎて、
あたし…変になりそう…」
凄い台詞だね。
自覚ない天然は困るね。
涙に潤んだ目を向けられると、何だか勘違いしそうになる。
ぷるぷると震える様を見ると、僕の腕の中に閉じ込めてしまいたくなる。
「僕がいるのに…楽しめないの?」
少し…寂しくなって聞けば、芹霞はぶんぶんと頭を横に振った。
「場所なんて、どうでもいいでしょう?」
そう言いながら、此処から動こうとしない僕もどうかとも思うけれど。
「ね?」
するすると、もっちりとした頬をなで上げる。
指に触れる芹霞が…心地よくて、僅かに目を細めてしまう。
「ん?」
じぃっと見つめてくる芹霞に、首を傾げて尋ねれば、芹霞の顔は真っ赤になった。
嬉しいね。
今この甘い空気は、僕と芹霞だけのもの。
本当の恋人同士みたいだ。
僕の気分は益々高揚した。
視線。
視線。
ああ、こっちを見るなよ。
今気分がいいんだから、放っておいてくれよ。
ちらちら、ちらちら…芹霞に向けられる男達の視線。
隣に恋人を立たせて、僕の芹霞に色目を使う。
僕に嫉妬の眼差しを送ってくる。
「……気に食わないね」
周囲に殺気を飛ばしながら、見せ付けるように芹霞を抱き締めると、
「お手柔らかに~」
芹霞が目を回してくたってしまった。
僕、過去こんなに殺気を飛ばしてデートをしたことがないよ。
こんなに見せ付けたこともないし。
のびた芹霞を腕に抱いて支え、その頬に僕の頬を擦り付けた。
ああ、何だか止まらないや。
完全に僕も、周囲のピンクに汚染されている。

