悪いけれど…芹霞の"うん"が多い時程、よく考えていないことが多い。
何度も何度も、"うんうん"ばかりで。
幸先が、更に不安になった。
どうすればいいんだろう。
どうすれば、芹霞に真剣に…考えて貰えるんだろう。
どうすれば拒まないで貰えるんだろう。
だから言わせた。
自らの口を動かすことにより、その脳に…記憶に刻みつけたんだ。
宣誓という形で。
芹霞は、長い宣誓文を言えたということに得意顔になっていたけれど、脳裏に刻み込んだ効果は…時間をかけて僕が必ず引き出してみせる。
それは僕の宣誓でもあって。
だけど…僕も随分と単純な頭をしているようで。
僕が言わせたくせに、芹霞の言葉ということだけで…芹霞の意思のように思えて、愛しさが募ってしまったんだ。
それまでの苦しさが払拭されて、代わりに膨れたのは…切なくなるほどの愛情だけ。
誰にどう思われてもいいから、僕は我慢しないで芹霞を愛してみたかった。
啄むようなキスに愛情を込めて。
止まらない愛情に、僕の心は張り裂けそうになった。
こんなに好きなんだよ。
本当に好きなんだよ。
判って。
お願いだから、僕を心に入れて。
そんな僕を鎮めたのは、忌まわしい青色。
全て全て、僕の行動が筒抜けで。
僕主体で動いているはずなのに、動かされているような錯覚に陥る。
そしてチケット。
今日の"お出かけ"は突然過ぎて、仕方ないから…次期当主の力で入らせて貰おうと…姑息な手を考えていた僕は、予め用意されていた…更には今日限定だというチケットの存在に、舌打ちするしかなかった。

