「その時はまた此処に居らして下はれ。
暁の狂犬の"奪還"祝いに、また1つ何か教えてあげまひょ。
今は、狂犬はんの次に現われると予想出来る位置と…取り巻く環境の触りしかお話出来まへんさかいに。勘弁願いますわ」
「いや…十分。助かった」
私は聖に背中を向けた。
「鬼雷はん…。
"目"をお大事に」
最後に、更に奇妙な言葉を聖は向けて、手をひらひらと振って私を見送った。
聖が何を掴んで、何を言いたかったのか判らないけれど、しかし私はヒントを貰ったのだと思う。
七不思議。
自警団。
血色の薔薇の痣(ブラッディローズ)
黄幡会
玲様の力を借りねばならぬ『TIARA』
全てが繋がり、そしてまだ見えぬものもあるのだろう。
――"目"をお大事に
聖によって"必然的"に導かれた、煌の居場所。
彼は単独行動なのか、集団行動なのか。
――次は恐らく…西早稲田、北新宿、歌舞伎町、新橋のどれか。
何処だ。
何処に居る、煌。
暁色に思いを馳せる私は、聖の声が聞こえなかった。
「ホンマに…酷なお人や。
――瀬良はん」
その、呟き声を。

