シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「ははは、紫堂玲なら涙してることだろう」


「俺が――玲を嫌えるわけがないだろう?

何をどう考えても…玲は嫌えない。

だが玲のことだ。そうは思ってくれない。

今頃罪悪感で頭がいっぱいのはずだ。



玲は…芹霞を守り続けてくれた。

俺はあいつを置いて逝ったのに、

玲はその間も芹霞を守り続けた。


あんな…紫堂の中で。


そうした玲を、芹霞は選んだ。


俺は――

負けを認めねばならない」



「いいのか、せりを譲って?」


俺は否定するように笑った。


「ちゃんと…釘は刺したぞ?」



『I go to take it』

(奪いに行く)




「俺は貪欲な『気高き獅子』。


欲しいモノは全て手に入れてやる」



そう。


例え12年の思い出が破滅しても――

俺の想いは生きている。


生きている限り――


何度でも奪いに行こう。

何度でも惚れさせよう。



「随分な自信だな」



「ああ。やってやる。


逆転は可能だろう?


俺が…

生きている限り――」



俺は笑った。