シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「紫堂櫂。久涅のことなんだが…

久涅は――」


唐突に聞こえたその名前。



俺はすっと目を細めた。



「ああ、お前も気づいていたか」



「ああ。反応があった。


だが久涅の立ち位置が判らない。

だから気をつけろよ」



「判ってる。


久涅は恐らく――」




破けた背中に見えたモノ。


俺は…緋狭さんを見つめた。


久涅は、屋敷にて俺が聞いていたことを判っている。


判っていて…そんなものを無防備に俺に見せたのは…



「あいつもまた、"必然"に動く連中の1人」



久遠の言葉に…俺は頷いた。




「最後に…1つ聞きたい、紫堂櫂」


久遠が言った。



「玲…のことか?」


久遠は頷いた。




「あの手紙に…書いたのは何だ?」


「ああ、あの請求書の下には――」




『I'll be back』

(俺は戻ってくる)


そして――


『I help you,Believe.』

(お前を救ってやる。信じろ)