シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



そして情報屋が消え――


外界の者は俺だけとなった。



「世話になった」


俺は頭を下げた。


「よせ、気持ち悪い」


久遠は顔を背ける。


「久遠。この借りは必ず返す。


必ず――

5日後に戻ってくる。


全てを逆転し…

こんな穴蔵から出してやる。


だからそれまで――」



久遠はひらひらと手を振って。



「緋狭を守ってやるよ。

『貧弱な子猫』には出来ない業だからな」



本当に口が悪くて、カチンとくるけれど。


俺は忘れない。



久遠はあの時――

酔っていなかった。


酒気がなかった。


入っていたのは…蓮に入れさせたただの水だろう。


酔ったフリをして、隠し続けたい心を犠牲にして…

俺を助けようとした…その心を尊重したいから。


だから、俺は…

手首の布を外す決心をしたんだ。

久遠に…託そうと思ったんだ。