「さあ…行こうか。

俺達は…やられたままではすまさない」



にやりと笑えば、皆が笑った。


「カイくん、いっちゃうの~?」

「ははは、また戻ってくる。心配するな」

「本当!!!? 具合悪くなったら…」

「…もうならないから安心しろ」


煌が先導して皆が…道に進む。


外界へと続くだろう、道を歩いていく。



残ったのは…


情報屋と俺、そして"約束の地(カナン)"の住人。



「さあ――櫂はん。

いきまひょか。


"裏世界に"」



俺は頷きながら、首元に手を添えた。



俺の首筋に刻印された…黒き薔薇。

それは――


案内人たるこの情報屋につけられたもの。



――坊。暫(しば)し待たせたな。案内人の指示に従え。


『櫂はん。準備が整いましたわ、さあ…いざ裏世界へ』


目覚めた時、突然現われた情報屋。

俺は桜に糸を解かせた。



「聖。お前…オレも誘って無かったか?」

「ああ、久遠はん。本来なら…久遠はんもごっつう勧誘したいんですわ。何せ…櫂はんと共に"意味"があるお人やからなあ」


どこまでも、情報屋は意味ありげで。


だけど緋狭さんが導いたのならば。


俺はその道に従おう。