シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「お姉ちゃん!!!? お姉ちゃんが居るの!!!?」


いつ、何処に!!!?


あたし、お姉ちゃんに会ってないよ!!!?



「緋狭を滅ぼしたいのなら…ご勝手に」



僅かに――

顔を歪ませたのは当主で。




「判るか…?

緋狭がいる意味が」



ゆらゆらと…揺れるように久遠が言う。



「白皇の領域は崩れても――


今、"約束の地(カナン)"は、


緋狭の領域だ」



お姉ちゃんの領域…



――って、何?


緋狭姉…"約束の地(カナン)"を攻め滅ぼしたの!!!?




「それでも何とか出来るというのなら――


また、"約束の地(カナン)"を歩き回り…


五皇の領域を1つずつ無効化して行ったらどうだ、久涅」



久涅は何も答えなかった。



「賢(さか)しいな…各務久遠」



当主が笑いだした。



「しかし…その賢しさが仇になる。


その賢しさは…脅威になる」



「だったら、どうする?

滅ぼすか? オレを。


紫堂櫂のように」



当主は笑いを止めて、

鋭い刃のような眼差しを久遠に向ける。



「外界に帰れ、紫堂当主。

"必然"で"約束の地(カナン)"来た久涅と…


次期当主と…その恋人と」



その恋人…って…。


「あたし?」


「君以外の奴がいいのか?」


あたしはぶんぶんと首を横に振った。



「けしかけて…浮かぬ顔だな、久涅」


久遠はそう笑いながら。



「話はそれでいいのなら、オレは屋敷に戻る。

さっさとそこの集団とせりを連れて帰ってくれ」


「えええ!!!?」


あたしは、驚いて久遠の腕にしがみついた。