「お姉ちゃん!!!? お姉ちゃんが居るの!!!?」
いつ、何処に!!!?
あたし、お姉ちゃんに会ってないよ!!!?
「緋狭を滅ぼしたいのなら…ご勝手に」
僅かに――
顔を歪ませたのは当主で。
「判るか…?
緋狭がいる意味が」
ゆらゆらと…揺れるように久遠が言う。
「白皇の領域は崩れても――
今、"約束の地(カナン)"は、
緋狭の領域だ」
お姉ちゃんの領域…
――って、何?
緋狭姉…"約束の地(カナン)"を攻め滅ぼしたの!!!?
「それでも何とか出来るというのなら――
また、"約束の地(カナン)"を歩き回り…
五皇の領域を1つずつ無効化して行ったらどうだ、久涅」
久涅は何も答えなかった。
「賢(さか)しいな…各務久遠」
当主が笑いだした。
「しかし…その賢しさが仇になる。
その賢しさは…脅威になる」
「だったら、どうする?
滅ぼすか? オレを。
紫堂櫂のように」
当主は笑いを止めて、
鋭い刃のような眼差しを久遠に向ける。
「外界に帰れ、紫堂当主。
"必然"で"約束の地(カナン)"来た久涅と…
次期当主と…その恋人と」
その恋人…って…。
「あたし?」
「君以外の奴がいいのか?」
あたしはぶんぶんと首を横に振った。
「けしかけて…浮かぬ顔だな、久涅」
久遠はそう笑いながら。
「話はそれでいいのなら、オレは屋敷に戻る。
さっさとそこの集団とせりを連れて帰ってくれ」
「えええ!!!?」
あたしは、驚いて久遠の腕にしがみついた。

