やがて。
動かない玲くんから――
涙がはらはらと…零れ落ちて。
あたしはぎょっとした。
「玲くん、何処か痛いの!!!?」
思わず、そう顔を覗き込んだ時、
「本当……?」
鳶色の瞳が…懇願するように、切なく光った気がして。
"本当"って、何に対する"本当"なんだろう。
「君は――
嫉妬すらしてくれてなかったじゃないか」
本当とは…あたしの気持ちのこと?
「僕が他の女に気があると…身を引こうとしたじゃないか」
「ま、まあ…」
その通りだから否定は出来ない。
「どうして僕には、"激情"を…心をぶつけてくれなかったの!!!?」
肩をがしっと掴まれ――
「どうして…僕に確認してくれなかったんだ!!!?」
あたしは――
「玲くん…あたしは、恋愛初心者で…判らないコトだらけで…自分の心にも戸惑うばかりで」
ねえ、あたしの気持ちは――…
「それが玲くんを苛立たせるのなら…」
玲くんにとって、悦ばしくはないのかも知れない。
「それなら…「違っ!!!!」
何だか涙がほろりと落ちてきて。
「芹霞!!!」
そう言った玲くんは――
「!!!!?」
あたしの両頬に手を添えると…
唇を押し付け…キスをしてきたんだ。

