「ほう? そんなこと…言える立場かな、久遠」
笑ったのは久涅。
「この土地が各務の象徴であるのならば――
この土地を手に入れた紫堂は、
各務を…お前を手に入れたも同然だ」
何を…言っている?
「は!!! "約束の地(カナン)"を…各務を傘下にする気か!!!
その話は断ったはずだがな」
「言ったはずだ。…地獄になると」
すると久遠は、嘲るように嗤う。
「地獄…地獄ねえ、地獄!!!
何処に…苦しんでいる人々がいると!!?」
不可解ながらも、賑わう遊園地。
だけど…不可解だからこそ、嫌な予感もするわけで。
「苦しみというものは…悦びや幸せを知る者だけが味わうことが出来る感情。
地獄とは…そういう感情が集まった場所。
だったら…
意味を…判らせてやるか、久遠」
そして久涅が取出したのは――
「「金の万年筆!!!?」」
俺と櫂が同時に声を上げた。
ああ…
もう嫌な予感が形となってくる。
黒い塔。
力を溜めた黒い塔。
久涅はくるくると万年筆を回した。
途端、
「うっ……」
俺は、またあの…脳味噌を掻き混ぜるような音を感じて、その場に耳を押さえて蹲(うずくま)った。
「煌、大丈夫か!!?」
櫂の声が聞こえる。
「か、櫂…小猿は…小猿は…?」
俺がこんなになるということは、同じ周波数だかを感じ取れる小猿も同じ事態に陥っているわけで。
俺はのろのろと体を起して、窓の外を見た。
だけど其処には――
「……いない」
小猿だけではなく、遠坂もいないんだ。
どういうことだ?
やっぱり…1人ずつ消えてしまったのか!!?

