その時、バタバタと音がして。


「久遠さま、久遠さま、久遠さま!!!」


飛び込んできたのは司狼。

今まで…何処に居たんだろう。


「外が――…

外が大変なことになってる!!!!」


そう叫んで。


「大変とは!!?」


蓮の声に、ただ司狼は興奮した様子で。



「とにかくおかしいんだ!!!

ありえないことになってるんだッッッ!!!

見に来てよ、外ッッッ!!!!」



それは異常事態なんだろうか。



「そういえば…

チビとアホハット、まだ戻らねえな」


煌の声に…

僕達は顔を見合わせて。



「旭くんなら応接間に居たよ?

目薬探してたけど…?」


芹霞がぎこちない笑いを浮かべた。 



渦中にあって…


だけど意味が判らない芹霞にとって、

僕達の今までの会話は不可解なことなんだろう。


何故櫂が荒れて久遠に殴られたのか。

何故僕が泣いているのか。


何1つ芹霞は判らない。


芹霞は櫂を見ない。

櫂も芹霞を見ない。


あんなに仲がよかった2人が、

今は顔をあわせない。


そうさせたのは僕。


やはり僕が元凶だ。


僕は…櫂や芹霞だけではなく、

皆の顔を見ることもできなかった。