顔を上げられない。
僕はきっと醜い顔をしているだろう。
嫉妬に醜く歪んでいるはずだ。
こんな顔を見せたくはないんだ。
これは――
僕の矜持。
真実の言葉は…
偽りの記憶を打ち消すだろう。
真実に勝る愛はない。
それは世の摂理。
だから僕は――
真実に負けない愛が欲しかった。
そうした愛を作ろうと思ったんだ。
僕の恋…。
どうしても…
実らせたかった僕の恋…。
情けなく醜くも…
芹霞に縋って諦め切れなくて。
散らせたくなかった僕の恋…。
同じ時を笑顔で過ごす、
そんな…幸せな未来を夢見て、
もがいてあがいて――。
苦しんで悲しんで…
だけどそれ以上に君が愛しくて溜まらなかった。
君が欲しくて仕方がなかった。
その為に、僕の可愛い従弟の心を踏み躙(にじ)り、君の心にある真実の愛を穢して。
それでも、僕は君が諦められなかった。
だけど――
君が真実愛しているのは櫂。
――紫堂櫂を愛してる!!!
僕じゃない。
ねえ…。
少しでも、僕のこと…
"男"として好きになってくれたのかな。
前より、ほんの少しでもいい。
僕を異性として見てくれたかな。
頑張ったんだよ、僕。
本当に我武者羅に頑張ったんだ…。
流されるままに生きてきた僕が、
初めて自分から求めたのは君。
諦めたくないと思ったのは君。
君は…
僕の初めての"女"なんだ。
僕の永遠だ。

