皆が驚いた声を上げているのが判る。 だけどその中には櫂の声がない。 櫂の居ない無声音の世界。 また…櫂と元に戻れるだろうか。 また…櫂と笑いあえるだろうか。 芹霞を…失うことで。 「せり……か…」 僕は―― 後ろから芹霞を抱きしめて、 その耳元で呟く。 魔法が解ける言葉を。 心を焼き尽くすような… 僕には熾烈な言葉を。 どうしても… 真実を言えずに、嘘で塗り固めてしまった偽りの鍵を、今――外すから。