「何だ騒々しい」
蓮が顔を顰める。
「女、お前に言っていない。
言葉を慎め!!!」
無駄に…誇り高い坊ちゃまだ。
考えてみれば…
今だからこそ打ち解けているものの、最初はかなり高飛車だった。
気を許せば懐く…ああ、そんな処まで煌に似ているのか。
「葉山、来い!!! 来てくれ!!! 紫堂玲が大変なんだ!!!」
「玲様が!!!?」
私は立ち上がった。
「発作起して…誰も回復出来ないんだ!!!」
泣きそうな顔で。
「蓮、神崎の薬…」
「先刻飲んだばかりだ。そう何度も飲ませていいものなのか!!?」
蓮の返答に、遠坂由香は押し黙って。
「とりあえず、玲様の元に行ってくる!!!」
「待て!!! オレも…」
私は、立ち上がろうとした久遠に頭を振った。
「まだ…傷は癒えていないんだ。
それに…ここを空には出来ない。
玲様は望まれていない」
すると久遠は舌打ちをして。
「旭、来いッッ!!!」
久遠の呼びかけに、派手な足音をさせて旭が部屋にやってきて。
「クサをたっぷり持って、紫堂玲を救出せよ!!!」
「了解(ラジャー)!!!」
玲様に…
同情の念を向けたのは私だけではないだろう。
それでも…回復力があるというのなら。
玲様…ごめんなさい。
そうして私は、皇城翠と…
悪臭放つ旭と共に…
走ったんだ。
玲様の元へ。
だから――知らなかったのだ。
私がその時落とした青い手紙を、久遠が手にして開けたのも。
それを玲様に渡すことすら忘れていた私にとって、そこに書かれていたことが、この先どんな重要な意味を持つものか…
何1つ気づくことがないまま。

