久涅が何かを言ってあたしの腕を掴む。
だけど、あまりの嫌悪感に体が震え、腕を払った。
ニゲロ!!!
この顔、凄く嫌だ!!!
紫堂櫂と同じ顔がとっても嫌だ。
アタシガコワレルマエニ。
別々のモノなのか、同一のモノなのか判らない。
入り混ざり…混乱してくる。
ニゲロ!!!
ああ、玲くん。
玲くんを助けないと!!!
煌が、居るのなら。
お願い、煌。
あたしを此処から助けて!!!
この男から救い出して!!!
この闇の使いのような、漆黒の男から…あたしを玲くんの元に連れて!!!
煌が手を伸した。
あたしも手を伸す。
その時、風が吹いて。
凄まじい…暴風で。
それは…自然に吹いた風ではないということが、何故だかあたしには判った。
あたしを…煌から…玲くんから遠ざける風。
邪魔をして、あたしを行かせないようにする風。
其処まで玲くんを助けたくないの?
其処まで玲くんを殺したいの!!?
忌々しい。
大嫌い。
「最低ッッッ!!!
あんたなんて…
いなくなっちゃえば良いんだッッ!!!」
口から出た言葉は凶言。
あたしの憎しみがこもった言葉。
ホントウニソレダケ?
それを浴びた紫堂櫂は――
「うああああああ!!!」
叫び声を上げて大きく後方に仰け反り、
風と共に…黒い光を放った。

