「4」



『案じるな。これも想定の内。朱貴と打ち合わせ済みだ』


打ち合わせ…?

んなもの、してたか?

いつ?


緋狭姉と朱貴の接触なんて…


あ。


七瀬目覚めさせる際、か。



『…問題なく行くはずだった。だが…雄黄が出てきたことにより、事態は急変。逆転狙いを見事ひっくり返された。打開するには…計画を大きく変更せねばならない』


あ?



『………煌』



緋狭姉は言ったんだ。



『玲を選ぶな』



それは緋狭姉にしては、信じられねえ言葉で。


玲を見捨てろなんて…緋狭姉が言うなど!!!



「3」



『これは玲の救済の為だ。

雄黄が玲に…北斗の巫女をあてがったのなら、奇しくも僅かなりとも道が拓けた。それは朱貴も判っている。朱貴は…お前達を導くだろう。

"約束の地(カナン)"に』


か、"約束の地(カナン)"!!?


行こうとしていた場所だけどさ、だけど何で此処でその名が出る!!?


『それが必然だからだ。

"逆転"と"破滅"の』


は!!!?


『…煌。再度言う。玲を選ぶな。玲を選ぶことにより、玲から生きる為の選択肢を奪うことになりかねん』


「だけどよ…」


『声にするな、静かにせよ!!』


わ、悪い…。


『玲を選べば、"約束の地(カナン)"にお前達は行き着かぬだろう、日付が変わる前に』


日付が変わるって…何か起こるのか!!?


しかしそれに返る言葉はなく。



『全ては必然――。

その時が来れば判る。


そして――

私のことは捨て置け』



はあああ!!?


『恐らく。私は此の場に吸収され、上手く抜け出したとしても…時既に遅し、我が肉体は呪詛にて滅んでいるだろう。

それに此処は…随分と私の力を吸収してくれるわ』


笑う場面じゃねえだろう!!?

どうすればそこから助け出せるよ!!!?


『今のお前達では…無理だ』



は!!?


『私は……。

煌……坊…告げ…。

合図…まで……を出…』



「待て待て待て!!!」



『…坊…玲……守…』



何で声が消えかかる!!?



『諦めるな』



緋狭姉!!!

緋狭姉!!!