そんな時だったんだ。
突如、空間が揺らぐようにぶれたのは。
最初…僕の目がおかしくなったのだと思った。
だけどそれが違うと感じたのは…
「次元が…割り込んだ!!?」
久遠が驚いた声を発したから。
「何で景色が薄れるんだ?」
「鏡の光当てても同じということは、悪しきモノではないのか?」
「俺、老眼にはまだ早いよな」
三者三様…だが彼らも同じ状況下にあるらしい。
この視界の異常は…真実か。
「今度は…何が起こるんだ!!!?」
由香ちゃんがぶるりと震えた。
そして僕は…
何かの存在が大きくなるのを感じて。
「気をつけろ!!!
何かが…来る!!!」
そう叫ぶと、久遠が呼応した。
「侵入者か!!?
…ありえない!!!
此処は…レグが築きあげた、
魔術的結界に守られてる土地だぞ!!?」
それがあり得ている現実。
それを何より、自分達の目が捕えている。
体に走る緊張感。
薄らいだ景色が陽炎のようにゆらゆらと揺れ、違う景色が下から塗り替えるかのように鮮明になっていく。
嫌な汗が流れてくるのを感じた。
五皇の領域に割り込める"何か"。
普通ではありえない"何か"。
何が…現われるというのか。
僕は剣を手元に引き寄せ、身構えた。
僕が。
僕が守らないと!!!
「!!!!!」
そこから現れたのは――

