シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
そんなあたしに――

久涅は静かな微笑を浮かべたんだ。


「お前が俺を思って泣いてくれるのなら…ずっとこうしているのも悪くない」


その微笑みは、何だか幸せそうに思えたのは…気のせいか。

その微笑みに…幸せを感じたのは気のせいか。


「何か…ゾンビも蝶も、諦めたのか…数が減ってきたね。今なら…屋敷に戻れそうだ。早く手当…」


「無駄だ」


「え?」


「俺は歓迎されない」


抑揚のない声がして。


「何処に行っても…行くだけ無駄だ」


何でそんな哀しいことを言うんだろう。

どうしてそんな孤独に言うんだろう。


「そんなことないよ!! 皆なら判ってくれるもの!!」


「…必要ない」


「え?」



「もう…疲れた…」



それは久涅から聞いた、初めての弱音。

似つかわしくない程の…言葉。


だから…益々涙が止らなくなってしまって。

久涅が最期を迎えているのではないかと勘違いして、泣きじゃくっていたんだ。


それから、名前を幾度呼んでも返答が無く。

ただ沈黙だけが続いて。


不安で不安で堪らなかった。


そんな時だったんだ。



「芹…霞…」



少し掠れているけれど…

あたしの名を呼ぶ声がしたのは。


それが…


紫堂櫂だったんだ。