玲の相手が七瀬だって!!?
一同、目を見開いて兄貴を見つめた。
そして朱貴の手の中の七瀬を見つめる。
言葉にならない声で、苦痛を訴えている七瀬。
かなり高熱を出しているのか、真っ赤な顔が汗に塗れて、呼吸も激しく乱れていて。
若干、痙攣までも起きている。
朱貴の"治療"でもこうであれば、朱貴がいなければどうなっていただろう。
ああ、薬をやって楽にしてやりてえ。
俺も、桜も。
だけどこれは…
俺達の切り札なんだよ。
七瀬。
少しだけ我慢してくれ。
「更に。婚姻という形式を取りやめ、単純に…紫堂の次期当主に北斗の巫女との子を成して貰うことにする」
「雄黄様!!」
口を挟んだのは周涅で。
その慌てぶりに、驚きは隠せねえ。
周涅も…実は妹を溺愛していたとかいうのか?
こんな目に合わせていた妹を?
はあ!!?
琥珀色の瞳は、赤銅色を押さえ込む。
「"来たるべき"この時期、処女性を守ることに意義はない。元よりお主だけが反対していたこと。お前の見返り案は、現在この状況。これはお主の失策だ」
周涅は…七瀬の何を守りたくて、狂宴を開いていたんだ?
だって…七瀬を輪姦させようとしたんだろ?
「我が決定した。北斗の巫女に」
「しかし…」
「周涅。我の決定に刃向かうか」
威圧的なその口調に、周涅が押し黙る。
あの周涅が押し黙る。
「次期当主と巫女との間に愛も形式も必要ない。次期当主に女が居ようと居まいと、婚姻ではないのだから皇城の反発は鎮まる。
ただ次期当主が巫女を抱き、巫女が孕めばよいだけだ。
結婚は不要。だが皇城は、我の名において紫堂を姻族として優遇する。
どうだ…素晴らしい好条件だろう?」
そんなもの――
根本的解決にならねえんだよ。
問題は結婚がどうのではなく、相手が誰ということではなく。
玲が紫堂の為に、望まぬ相手を抱かねばならないこと。
あいつが…我慢して道具として使われ、子供まで作らねばならないことで。
玲が逃げ出せば、それは…次の次期当主に降りかかる。
櫂を次期当主に戻したい俺達は、頑張れば頑張る程…今度は櫂を同じ目に追い詰めることになるんだ。

