シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
玲の相手が七瀬だって!!?

一同、目を見開いて兄貴を見つめた。

そして朱貴の手の中の七瀬を見つめる。


言葉にならない声で、苦痛を訴えている七瀬。

かなり高熱を出しているのか、真っ赤な顔が汗に塗れて、呼吸も激しく乱れていて。


若干、痙攣までも起きている。

朱貴の"治療"でもこうであれば、朱貴がいなければどうなっていただろう。


ああ、薬をやって楽にしてやりてえ。


俺も、桜も。


だけどこれは…

俺達の切り札なんだよ。


七瀬。

少しだけ我慢してくれ。



「更に。婚姻という形式を取りやめ、単純に…紫堂の次期当主に北斗の巫女との子を成して貰うことにする」


「雄黄様!!」


口を挟んだのは周涅で。

その慌てぶりに、驚きは隠せねえ。


周涅も…実は妹を溺愛していたとかいうのか?


こんな目に合わせていた妹を?


はあ!!?


琥珀色の瞳は、赤銅色を押さえ込む。


「"来たるべき"この時期、処女性を守ることに意義はない。元よりお主だけが反対していたこと。お前の見返り案は、現在この状況。これはお主の失策だ」


周涅は…七瀬の何を守りたくて、狂宴を開いていたんだ?

だって…七瀬を輪姦させようとしたんだろ?


「我が決定した。北斗の巫女に」


「しかし…」


「周涅。我の決定に刃向かうか」


威圧的なその口調に、周涅が押し黙る。

あの周涅が押し黙る。



「次期当主と巫女との間に愛も形式も必要ない。次期当主に女が居ようと居まいと、婚姻ではないのだから皇城の反発は鎮まる。

ただ次期当主が巫女を抱き、巫女が孕めばよいだけだ。

結婚は不要。だが皇城は、我の名において紫堂を姻族として優遇する。

どうだ…素晴らしい好条件だろう?」


そんなもの――

根本的解決にならねえんだよ。


問題は結婚がどうのではなく、相手が誰ということではなく。


玲が紫堂の為に、望まぬ相手を抱かねばならないこと。

あいつが…我慢して道具として使われ、子供まで作らねばならないことで。


玲が逃げ出せば、それは…次の次期当主に降りかかる。

櫂を次期当主に戻したい俺達は、頑張れば頑張る程…今度は櫂を同じ目に追い詰めることになるんだ。