シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



俺は桜華を思い出す。


あの時も、治療するから見るなと言い放ち、実際学園長の部屋の1室でキスをしていた。


それで俺は、朱貴が七瀬を好きだと言うことが判ったわけだけれど…。


治療…確かに治療だ。


何でそれが唇を重ねる方法なのかは知らないけれど。


だけど…何だ?


どうして…朱貴の気と七瀬の気がまるで1つのもののように…ここまで同調しあう?


気というものは、人間の個性と一緒で、同じというものはありえねえんだ。


なのに…

朱貴と七瀬の気は、どう感じてみても同じで。



「駄目だ、瘴気の影響が思いの他強い」



そう唇を離した朱貴は舌打ちして。



「せめて…薬があれば…!!!」



薬…。


薬って"ジクヨクナール"?



「薬がなければ!!!

紫茉は…壊れるぞ!!!?」



悲痛な朱貴の声に、


「今から取りに帰っても…時間がかかりすぎる!!」


今度は周涅が今度は舌打ちして。



そんな時だった。


何やら考え込んでいた桜が…

上着のポケットをまさぐり始めたのは。



そして――



「薬とは…これか?」



手にしていたのは、錠剤が入った小瓶。


まさしく、あの薬で。


何で桜がそんなものを!!!?



「これを見越していたのか…あの男は」


何だかよく判らねえ言葉を、自嘲気に吐き捨てて。


そして、笑ったんだ。



「形勢逆転だな、周涅。


これを欲しくば、対価を払え。


お前が言い出したこと。


この薬に重大な意味があるというのなら、こちらの望む全ての条件を呑んで貰おう。


この条件呑めねば…この薬を裂岩糸で粉状にして、風に飛ばす」



ああ、これで。


これで緋狭姉も玲も…



助かる!!!!



俺は…ようやく大きな呼吸が出来た。