シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
「はああああ!!?」


変な声を上げたのは小猿。



「そうだ、それでは…!!!」


慌てたのは桜。


そう、緋狭姉のことも、玲の結婚話も、円満解決の確証が得られてねえのに、向こう優位に七瀬を犠牲にして、俺達の安全のみ保証される…という事態だけは、してはいけねえ最悪なことなんだ。


それならば結局は振り出しに戻っただけで。

これならば…周涅の思惑通りじゃねえか。



「紫茉、戻れ」


そう、叫んだのは朱貴だった。



「行くな、俺の元に戻れ!!!」



悲壮感漂うその顔には、

明確な…七瀬への想いが溢れているというのに――



「すまないな、朱貴。お前も助けに来てくれたのに」


困ったように笑う七瀬には届かない。

気づいてもいない。


朱貴がどんなに身体を張ってまで、七瀬を愛しているのかを。



「煌と桜だけでも無事に逃したい。

あたしは大丈夫。ちゃんと説得するから。

後のことはあたしがちゃ…んと…」



何だ?


七瀬、身体ぐらついていないか?



そんな時だったんだ。



「ぐっ!!!」



七瀬が苦しみの声を出して、前方に倒れ込んだのは。



「紫茉!!!?」


それを両腕に支えたのは近くに居た周涅。



「ぐあああああ!!!」



七瀬は汗を掻きながら苦しんでいて。



「これは…いつもの熱の発作!!!? 朱貴!!!」


周涅は途端表情を変えて朱貴を呼ぶ。


そして朱貴もまた、表情を変えて飛んで来て…


「ああ、いつもの熱「痛い、痛い、痛い、痛いッッ!!!」


自分の身体を抱くようにして、蒼白な顔で悶える七瀬。



そして朱貴は――




「!!!」




七瀬に口付けたんだ。



何でこんな時に…

と思ったけれど、



「これは…治療?」


桜の声。


そう、朱貴の気が、唇を通して七瀬に移動している。


キスではなく…助けているというのか?