最強の紅皇が、そう簡単に倒れて意識を飛ばすわけがねえ。
ああ、故意的だと考えれば!!!
場を納める可能性を持つ七瀬を目覚めさせる為に、わざと倒れて意識を沈めた。
そう思って見れば、緋狭姉…。
じゃあ…自分の意思で還ってこれるんだな?
だけどその期待は――
「紫茉ちゃんの浴びた瘴気は尋常ではない。瘴気の濃さと多さ故に、紫茉ちゃんが自力では目覚めることはなかった。
それを紅皇が…身代わりとなって瘴気に囚われることによって、紫茉ちゃんを覚醒させたんだね?
呪詛を受けた身で、あれだけの瘴気に塗れた紫茉ちゃんの"混沌"に潜ったら、幾ら五皇言えど無事でいられるはずない。現に朱ちゃんとて、紅皇をつれられないまま、戻らざるをえなかった。
紅皇の肉体は呪詛で壊死し、その意識は…やがて瘴気に消滅する。
肉体に意識が戻らないまま、時間がくれば完全に"死ぬ"。
結局、何1つ運命は、変わらないんだけれどね、ははははは~」
期待は…砕かれて。
「変わらないはずはない。
あたしは紅皇さんと約束したんだ。
必ず周涅を止めて、煌と桜を救ってやると。
それが出来るのはあたしだけだと、紅皇さんは言ったんだ。
その約束故に、あたしは紅皇さんを犠牲にして、戻って来れた。
約束が果たせたら、あたしは紅皇さんを迎えにいくんだ」
そして周涅を睨み付ける。
「周涅。お前に変な薬を嗅がされてから…随分なことになっているじゃないか」
静かなる…怒り。
「私の大事な友達に、
随分なことをしてくれているじゃないか」
ぞくりとする程の怒りは、周涅に向けられていて。
素人とは思えねえ程の視線の鋭さ。
周涅の強い視線に負けていない。
逆に周涅を呑み込もうとしている。
逆転…するのか?
妹が…兄を抑えられるというのか?

