シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
意識失い、聖に担がれていたはずの七瀬が仁王立ちしている。


突然のことに頭がついていかねえ。


大体、聖は――


「ひいいいっ…。

大事なトコ殴り飛ばすなんてなんちゅーオナゴや。

女になったらどないするんや…」


聖は、股間を押さえて飛び跳ねていた。

肩の位置からどうすれば殴り飛ばせるのか、女が男のソコを殴ろうとする心情自体、理解しがたいもので…より七瀬という女の男勝りな性格が浮き彫りにされたけれど。


ああ、しかし衣装が透けてるんだよな。

此処まで堂々としている処を見れば、多分…七瀬は全然気づいていないんだろうな。


目を凝らせば結構際どい処まで…


「………」


俺は…芹霞しか興味ねえ。

そんな殺気送るなよ、朱貴。


「紫茉ちゃん、おはよう」


周涅は動じることなく、にっこりと笑う。


だけど判るんだ。


意識的にしろ無意識的にしろ、周涅が俺から足を引いたということは…七瀬の存在は周涅にとって特別だということ。


そして殺気めいた鋭い空気も柔和したのを思えば、もしかすると…見せたくねえのかもしれない。


鬼畜な兄貴の図を。


――今更?



「いつからお目覚め?」


「久々に会う情報屋に担がれたあたりから」


七瀬は凛とした眼差しを、真っ直ぐに周涅に向けた。


「目覚めたのは自力ではないでしょ?

ここにいる…紅皇と…朱ちゃん?」


七瀬は緋狭姉と、こっちをじっと見つめて立っている朱貴に視線を送ると、こっくりと深く頷いた。


「兄の暴走を止めるのは、妹の役目だ」


緋狭姉…。


俺は倒れたままの緋狭姉を見て、じんと心が熱くなった。