意識失い、聖に担がれていたはずの七瀬が仁王立ちしている。
突然のことに頭がついていかねえ。
大体、聖は――
「ひいいいっ…。
大事なトコ殴り飛ばすなんてなんちゅーオナゴや。
女になったらどないするんや…」
聖は、股間を押さえて飛び跳ねていた。
肩の位置からどうすれば殴り飛ばせるのか、女が男のソコを殴ろうとする心情自体、理解しがたいもので…より七瀬という女の男勝りな性格が浮き彫りにされたけれど。
ああ、しかし衣装が透けてるんだよな。
此処まで堂々としている処を見れば、多分…七瀬は全然気づいていないんだろうな。
目を凝らせば結構際どい処まで…
「………」
俺は…芹霞しか興味ねえ。
そんな殺気送るなよ、朱貴。
「紫茉ちゃん、おはよう」
周涅は動じることなく、にっこりと笑う。
だけど判るんだ。
意識的にしろ無意識的にしろ、周涅が俺から足を引いたということは…七瀬の存在は周涅にとって特別だということ。
そして殺気めいた鋭い空気も柔和したのを思えば、もしかすると…見せたくねえのかもしれない。
鬼畜な兄貴の図を。
――今更?
「いつからお目覚め?」
「久々に会う情報屋に担がれたあたりから」
七瀬は凛とした眼差しを、真っ直ぐに周涅に向けた。
「目覚めたのは自力ではないでしょ?
ここにいる…紅皇と…朱ちゃん?」
七瀬は緋狭姉と、こっちをじっと見つめて立っている朱貴に視線を送ると、こっくりと深く頷いた。
「兄の暴走を止めるのは、妹の役目だ」
緋狭姉…。
俺は倒れたままの緋狭姉を見て、じんと心が熱くなった。

