シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

「葉山、頭下げるなよッッ!! 皇城と紫堂玲との縁談って何だよ?」


周涅は薄く笑った。


「皇城と紫堂は…1つになる」


「はあ!!!?」


小猿が飛び跳ねる。


「紫堂は拒めない。拒む気もない。皇城との婚姻により、成り上がりの血が正統化されるのだから。これは…紫堂のチャンスだ」


くつくつ、くつくつ。


その為に、玲が…どんな思いをしてると!!?


「皇城の誰との結婚なんだよ!!? 俺、姉妹なんていねえぞ!!?」


「紫堂玲との…子を、最短で成すことが出来る者」


相手をぼかしたのは、意図的か否か。

血筋なんてどうでもいい、皇城の思惑通りのことが出来る女かどうか…そんなことを匂わせて、当然というような顔で周涅は言った。


「皇城が欲しいのは、紫堂玲個人ではない。紫堂玲の遺伝子を引き継ぐ者。

子さえ成せれば、紫堂玲に女が居ようが居まいがどうでもいい。所詮"結婚"など、対外的な儀式。紫堂を懐柔する為の、餌にしか過ぎない。

しかし紫堂玲は、公衆の電波を使い、縁談を持ち掛けた皇城の…俺の面子を潰した。

それに対し、皇城側が黙っていると思うか?

たかだかお前の土下座如きで、事が丸く収まると思うか?

何より、顔に泥を塗られ気分が悪い俺への"見返り"は何だ」


芹霞を使ったテレビ中継が…裏目に出たのか?


それにしても酷え。

玲の子供?

玲を道具にしてしか見ていないのは、実家だけではなく…婚姻先もそうだっていうのかよ!!!?


――助けてくれ。


桜は、更に深く頭を下げた。


「私の矜持を対価に捧げる。


だから…


玲様を解放してくれ」




周涅は腕組をしたまま桜を見下ろしていて。



「へえ…矜持が、対価ねえ…?」


そう言うと――…


振り上げた足で…桜の頭を踏み潰したんだ。