「葉山、頭下げるなよッッ!! 皇城と紫堂玲との縁談って何だよ?」
周涅は薄く笑った。
「皇城と紫堂は…1つになる」
「はあ!!!?」
小猿が飛び跳ねる。
「紫堂は拒めない。拒む気もない。皇城との婚姻により、成り上がりの血が正統化されるのだから。これは…紫堂のチャンスだ」
くつくつ、くつくつ。
その為に、玲が…どんな思いをしてると!!?
「皇城の誰との結婚なんだよ!!? 俺、姉妹なんていねえぞ!!?」
「紫堂玲との…子を、最短で成すことが出来る者」
相手をぼかしたのは、意図的か否か。
血筋なんてどうでもいい、皇城の思惑通りのことが出来る女かどうか…そんなことを匂わせて、当然というような顔で周涅は言った。
「皇城が欲しいのは、紫堂玲個人ではない。紫堂玲の遺伝子を引き継ぐ者。
子さえ成せれば、紫堂玲に女が居ようが居まいがどうでもいい。所詮"結婚"など、対外的な儀式。紫堂を懐柔する為の、餌にしか過ぎない。
しかし紫堂玲は、公衆の電波を使い、縁談を持ち掛けた皇城の…俺の面子を潰した。
それに対し、皇城側が黙っていると思うか?
たかだかお前の土下座如きで、事が丸く収まると思うか?
何より、顔に泥を塗られ気分が悪い俺への"見返り"は何だ」
芹霞を使ったテレビ中継が…裏目に出たのか?
それにしても酷え。
玲の子供?
玲を道具にしてしか見ていないのは、実家だけではなく…婚姻先もそうだっていうのかよ!!!?
――助けてくれ。
桜は、更に深く頭を下げた。
「私の矜持を対価に捧げる。
だから…
玲様を解放してくれ」
周涅は腕組をしたまま桜を見下ろしていて。
「へえ…矜持が、対価ねえ…?」
そう言うと――…
振り上げた足で…桜の頭を踏み潰したんだ。

