そして桜は――
「その前に…1つ、
最期の願いを聞いて欲しい」
地面に正座して、両手をついたんだ。
「葉山!!!!?」
俺は…判った。
桜が何を言い出すのか。
俺も、それが心残りだったから。
「何で止めるんだよ、止めるのは葉山だろ、ワンコ、ワンコッッッ!!!」
判ったから――
小猿の動きを制したんだ。
「玲様を…助けてくれ。
皇城の娘と玲様との縁談を…
取り下げてくれ」
そう、桜は土下座したんだ。
無慈悲な相手に。
最低な殺し合いをさせようとしている、そんな鬼畜な男に。
自分の未来を奪う相手に、完全なる降伏を掲げ、弱者の姿勢にて懇願するのは…
より強い力を求めてきた『漆黒の鬼雷』にとって…屈辱どころの話じゃねえ。
だけど桜がすることによって意味が出る。
だから俺は、桜を止めなかったんだ。
――助けてくれ。
俺達は、命尽きる前に、どうしても玲を救わねばならないから。

