シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

「煌…」


桜が言った。



「緋狭様は、生きねばならぬ女性だ」



そして…柔らかく微笑んだ。



「私達には忘れてはならない恩がある。その慈悲深さに皆救われてきたんだ。見捨てることは…絶対したくない。してはいけないことだ」



俺は…頷いた。


俺達の心は…同じだった。



「周涅」


桜は、周涅に言った。




「その条件を呑もう…」




それで緋狭姉が助かるのなら。



「翠。後のことは頼む」


そう、事後は…俺達は居ないだろうから。



「小猿。お前が証人だ。

何としてでも、緋狭姉を助けてくれ」


俺も笑いながらそう言うと…


「嫌だ、嫌だよ、絶対嫌だよッッ!!! やめろ、やめろよッッ!!! そんなことしても周涅は助けないかも知れないじゃないか!!!」



「小猿…。

だけど…助けてくれるかも知れない」


それは僅かな希望。


「言う通りにしない限り…希望は0だ。時は嫌でも過ぎていく。迷っている時間はねえ」



俺は、意識無く横たわる緋狭姉を見つめた。


緋狭姉に意識があれば、きっと殴り飛ばされるかも知れないけれど。


不肖の弟子達は、緋狭姉を助ける為なら何でもするよ。


例えそれが、仲間と共に進む地獄の道であろうと。

例えそれで、人の道から外れてしまおうと。


――如月煌と名付けよう。


緋狭姉に貰った命、返すよ。



「だから小猿、後のことは…「嫌だ嫌だ、絶対嫌だ!!!」


小猿がわんわんと派手に泣き出してしまった。


酷だよな、判っている。


だけど…


「お前に頼みたい」


それは桜も同じ思いのはずだから。


信用出来るのは、小猿だけだ。