噴き出る水、水、水。
多分、緋狭姉の炎なら此の場を抑えられる。
だけど――
「緋狭様!!!?」
桜が、よろけた緋狭姉を支えた。
緋狭姉が膝をついたんだ。
そして崩れ落ちる。
音もなく…すうっと身体が傾き、
桜の手から滑り落ちるように。
「緋狭様!!!?」
抱き起こした桜の顔色が変わり、慌てて首の脈を取る。
「脈はあるけど…
呼吸が弱い!!!」
何だって!!?
「緋狭様、緋狭様!!? 桜の声が聞こえますか、緋狭様!!?」
意識がないようだ。
思わず手を伸しかけた俺は、目を細めた。
緋狭姉のはだけた襦袢から、ちらりと見えたその背中。
違和感を感じて。
俺と同時にそれに気づいたらしい桜が、"失礼します"と一声かけて緋狭姉を俯せにして、その襦袢を引き下げた。
背中が見えた。
奇っ怪な印があるのは判っている。
怪我をしているのも判っている。
赤く染まった緋狭姉の背中。
誰もがそれを想像する。
だけど――
「何だよ、これは!!!!」
緋狭姉の身体の皮膚が、青白い網目模様になっていたんだ。
それは毛細血管が浮いているのとはまた違う。
これはまるで――
「電子基盤!!!?」
そして傷口に近い中央部分が、薄紫色に変色していて。
薄紫から青緑色に拡がる、基盤模様の濃淡(グラデーション)。
何だ、これは一体…?
「言っただろう、呪詛だと」
答えたのは周涅。
「時間が経つにつれ、紫色が濃くなり…壊死に至る。
壊死とは細胞の破壊。
今はまだかろうじて生きているが――
全身が紫色に変色した時、紅皇は死ぬ」
「はあああ!!?」
俺は声を上げた。

