シンデレラに玻璃の星冠をⅡ




噴き出る水、水、水。



多分、緋狭姉の炎なら此の場を抑えられる。


だけど――



「緋狭様!!!?」



桜が、よろけた緋狭姉を支えた。


緋狭姉が膝をついたんだ。


そして崩れ落ちる。


音もなく…すうっと身体が傾き、

桜の手から滑り落ちるように。


「緋狭様!!!?」


抱き起こした桜の顔色が変わり、慌てて首の脈を取る。


「脈はあるけど…

呼吸が弱い!!!」


何だって!!?


「緋狭様、緋狭様!!? 桜の声が聞こえますか、緋狭様!!?」


意識がないようだ。


思わず手を伸しかけた俺は、目を細めた。


緋狭姉のはだけた襦袢から、ちらりと見えたその背中。


違和感を感じて。


俺と同時にそれに気づいたらしい桜が、"失礼します"と一声かけて緋狭姉を俯せにして、その襦袢を引き下げた。


背中が見えた。


奇っ怪な印があるのは判っている。

怪我をしているのも判っている。


赤く染まった緋狭姉の背中。


誰もがそれを想像する。



だけど――



「何だよ、これは!!!!」



緋狭姉の身体の皮膚が、青白い網目模様になっていたんだ。


それは毛細血管が浮いているのとはまた違う。


これはまるで――



「電子基盤!!!?」



そして傷口に近い中央部分が、薄紫色に変色していて。


薄紫から青緑色に拡がる、基盤模様の濃淡(グラデーション)。



何だ、これは一体…?



「言っただろう、呪詛だと」



答えたのは周涅。



「時間が経つにつれ、紫色が濃くなり…壊死に至る。


壊死とは細胞の破壊。


今はまだかろうじて生きているが――

全身が紫色に変色した時、紅皇は死ぬ」



「はあああ!!?」


俺は声を上げた。