シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
緋狭姉が…

微かに微笑んだ気がした。



「な!!!?」


それは周涅の虚をついたようで。

俺の肌を伝わるようにして、転げ落ちた血染めの太陽石は、固定されている手首の方へとコロコロと転がり…自由な指がそれを掴む。



俺の手に戻った太陽石。


そのまま俺は、再度顕現させる。


小振りの…偃月刀に。


そして指先で偃月刀を回転させ、

手首の枷を斬ったんだ。


俺にとって、偃月刀を使用した器用な芸当は、緋狭姉との修行で嫌と言う程やらされた。

錘までついた頑丈な手錠をかけられて、ぽいと危険な場所に放置プレイされるのはよくあることで。


生き伸びるためには、偃月刀を器用に使いこなさないといけなかった。


今思えば、緋狭姉との修行は…今の危機に繋がる、必然だったんだな。

いつも必死で判っていなかったけれど。


過去があって今がある。

同じ時間軸の延長上にいると思えば、緋狭姉には助けられてばかりだ。


「…手首から下も固定すべきだったな、周涅。この馬鹿犬は、しぶといんだ」


満足気な緋狭姉の声が聞こえる。



全ての枷を壊した俺を見て、周涅が足を蹴り上げて攻撃してきたが、それを止めたのは、緋狭姉の膝だった。


「させぬ。

これ以上…手出しはさせぬ」


その間に俺は桜の枷を外し、

吃驚仰天という顔で固まる小猿の首を軽く叩く。



「わ、わわわわワンコ、傷!!!」


「あ? こんな程度なんともねえよ。いつもの修行の方がズタボロだ」


「どんな修行してるんだよ、ワンコ…」


口で言えば簡単。

死にそうな修行だ。


とは言わないでおくけれど。