シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「どうせなら…これで切り刻もうか」


周涅が手にしたのは巨大な偃月刀。


俺の偃月刀。


「触るな…」


それは…俺が最初に緋狭姉から教示された、特別なもの。


――好きな武器を心に思い描き、具現化させてみよ。


初めは…凄い武器に"顕現"させようと思ってたんだ。


そして探し出したのは、緋狭姉の武器コレクションにあった偃月刀。


見るからに破壊力がありそうで、一振りすれば、大勢を薙ぎ倒せるような派手な武器は…本当に単純な俺の理想にぴったりで。


更にはその形状。

変わった色の髪の俺と、変わった刃の形をした偃月刀。


何だか運命的な出会いをした気がして…


即決だった。


だけど――


――いいか、この武器はお前の大切な者達を守るものだ。


大きい武器は、手にしただけで慢心を助長し…何より小回りが利かねえ。

その欠点は、武器の扱い方というより、俺自身が判っていた。


小さい頃から体格(ガタイ)だけすくすく育った俺。


更にこんな顔に生まれつき、少し凄めば…大人でもすぐ怯む。


だけど、特別俺自身が強いわけじゃねえ。


――緋狭姉、俺…強くね? 凄くね?


それが判らず調子づいていた時、緋狭姉にやられた。


瞬殺、だ。



――図に乗るな、"長所は短所"ということを覚えておけ。

――判らぬのなら、桜の長所と短所を考えてみよ。


身体は大きくて力はあるが、頭は悪いし速度がねえ俺。

身体は小さくて力はないが、素早くて他の面でも俺より優れてる桜。


――お前の渾身の一打を放つ間、桜は何度攻撃出来ると思うか。


俺に致命的に不足しているのは…速度だ。


悪い頭で必死に考え、速度を高める為に…俺が顕現に選んだのは、小振りの偃月刀。


それで――

俺の大切な者達を守ろうと思ったんだ。



その偃月刀が、緋狭姉に仇なす奴の手にあって。

小回り利かねえ大きさで。


何の為の偃月刀よ?

何の為の顕現よ?