「どうせなら…これで切り刻もうか」
周涅が手にしたのは巨大な偃月刀。
俺の偃月刀。
「触るな…」
それは…俺が最初に緋狭姉から教示された、特別なもの。
――好きな武器を心に思い描き、具現化させてみよ。
初めは…凄い武器に"顕現"させようと思ってたんだ。
そして探し出したのは、緋狭姉の武器コレクションにあった偃月刀。
見るからに破壊力がありそうで、一振りすれば、大勢を薙ぎ倒せるような派手な武器は…本当に単純な俺の理想にぴったりで。
更にはその形状。
変わった色の髪の俺と、変わった刃の形をした偃月刀。
何だか運命的な出会いをした気がして…
即決だった。
だけど――
――いいか、この武器はお前の大切な者達を守るものだ。
大きい武器は、手にしただけで慢心を助長し…何より小回りが利かねえ。
その欠点は、武器の扱い方というより、俺自身が判っていた。
小さい頃から体格(ガタイ)だけすくすく育った俺。
更にこんな顔に生まれつき、少し凄めば…大人でもすぐ怯む。
だけど、特別俺自身が強いわけじゃねえ。
――緋狭姉、俺…強くね? 凄くね?
それが判らず調子づいていた時、緋狭姉にやられた。
瞬殺、だ。
――図に乗るな、"長所は短所"ということを覚えておけ。
――判らぬのなら、桜の長所と短所を考えてみよ。
身体は大きくて力はあるが、頭は悪いし速度がねえ俺。
身体は小さくて力はないが、素早くて他の面でも俺より優れてる桜。
――お前の渾身の一打を放つ間、桜は何度攻撃出来ると思うか。
俺に致命的に不足しているのは…速度だ。
悪い頭で必死に考え、速度を高める為に…俺が顕現に選んだのは、小振りの偃月刀。
それで――
俺の大切な者達を守ろうと思ったんだ。
その偃月刀が、緋狭姉に仇なす奴の手にあって。
小回り利かねえ大きさで。
何の為の偃月刀よ?
何の為の顕現よ?

