シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

「さあ、紅皇。


選ぶまでもないが…。


残された時間を満喫し、この場で弟子達に生き地獄を見せたくなければ…去れ。

もしそれを拒絶するというのなら。


弟子達を切り刻んでからお前を殺す」


途端、新たなる水の枷が俺の首元に現れて。


それは俺だけではなく、桜もだった。


その凄まじい水圧に、喉が締め付けられていく。


だけど――

俺も桜も声は上げなかった。


道具として…緋狭姉の足を引っ張りたくない…その一念で。


蹲(うずくま)る緋狭姉から、血がどくどくと溢れている。

その顔が苦しげなのは、出血だけの問題じゃねえ。


呪詛。


正体は判らないが、それが緋狭姉の内部から蝕んでいるように思えた。


緋狭姉の気が、弱く揺らいでいるんだ。


「返答がないようだ。


では…本格的に、切り刻むとしよう。


あまりの苦痛に逃れたい本能は、人の心を捨てさせる。

愛だ友情だ…そんな綺麗事は所詮世間知らずの夢想。


凄惨な現実を見るがいい。

弟子達が食らい合う…狂った宴を」



誰が…桜を食うかよ。


勝手に…話を進めるな。


偃月刀。


俺の偃月刀。



俺は、心に念じた。


今まで以上に切に。


「周涅!!!!」


朱貴の声。


「周涅…私は…」


首元の枷の締め付けが強くなり、俺の身体が後方にしなる。

緋狭姉の視線を感じる。

周涅の笑いが聞こえる。


俺は…道具じゃねえ。


道具だった…制裁者(アリス)からは足を洗ったんだ!!!