その時、
「――遊びの時間は終わりだ」
そんな緋狭様の声と共に――
ドガッ。
緋狭様の裏拳が、周涅の腹に入り…
周涅を大きくよろめかせた。
私が初めて見る、緋狭様からの"攻撃"だった。
「周涅、判っておろう。
今のお前では、1人で私には勝てぬ」
いつ手にしていたのか…
煌の巨大な偃月刀を周涅に突きつけていた。
煌でさえ両手で持つ偃月刀を、
緋狭様は軽々と片手で操っていて。
「え? 俺の…あれ?」
不甲斐ない愛弟子は、自らの武器が無くなったことすら気づいていなかったらしい。
隣に居た私も…気づいていなかったのは、悔しい。
「"此の場は見逃してやる"。
今のお前はそう言える立場には居ない。
現実を見ろ、周涅。
此の場を生き残り、
"約束"を守りたければ…。
この者共を此処から逃がし…」
緋狭様はにやりと笑った。
「玲との婚姻を取り下げろ」
私は――
「それが――…
"見逃してやる"条件だ」
心が震えた。
緋狭様!!!
緋狭様は…
玲様も見捨てられていない!!!
これで…
玲様に笑顔が戻る!!!
私は、煌と顔を見合わせて、頷きあった。

