僕の頭の頂には、
贋物の権威の象徴。
脆くて直ぐ壊れる…
玻璃の星冠(ティアラ)。
跪(ひざまず)いて懇願し――
獲られたのは紛(まが)い物。
――玲様!! お見事です!!
――さすがは玲様!!!
思い出すな。
あれは夢幻。
――まだ居るのか、この紫堂に。
――厚顔無恥とはこのことだな。
――従兄という憐憫で櫂様に情けをかけられているの、知らないのか?
思い出すんじゃない。
いつものように耳を塞げ。
――やはり玲様には次期当主という肩書きがお似合いだ!!
――信じていましたよ、玲様!!
――玲様の方が、次期当主に相応しい!!
人の心など移ろいゆくもので。
より強い力に流されるもので。
より輝くものに惹き付けられるもので。
審美眼がない連中はころりと騙される。
――これで紫堂は安泰だ!!!
本物の王冠(クラウン)は――
櫂のものなのに。
――よく返り咲けるな、櫂様の温情を受けていて。
――所詮、欲に眩んだだけの男だ。
「………う?」
――身の程知らずが!!
そうだ。
それが正しい反応。
僕は櫂の影。
決して光になれやしない。
それでもいい。
選んだのは僕。
だけど…芹霞だけは。
芹霞にだけは――
僕は光でいたいんだ!!
「師匠?」
不意にかけられた由香ちゃんの声に、びくりと体が震えてしまう。
「ごめんね、ちょっとどうでもいい考え事」
慌てて笑う僕に、漆黒の瞳が絡みついた。
責任を感じたような悲哀に満ちた眼差し。
多分、櫂は見抜いている。
僕の…紫堂における立場を。
芹霞を必死に手に入れようとする僕を。

