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久遠は、僕と櫂を2人きりにさせてくれたらしい。
「痩せたね…櫂」
そう言うと、櫂は苦笑した。
痩せたけれど、目の強さは変わらない。
どんな格好をしていても、『気高き獅子』は変わらない。
王者の美貌は衰えていない。
僕の自慢の従弟には変わらない。
「似合うね、その格好。
凜ちゃん…だっけ?」
そう笑うと、櫂はむくれたような眼差しを向けた。
櫂の声は回復していなかった。
僕は回復結界を施して、櫂の声帯を癒していた。
櫂の喉仏が動いたと思った時、櫂の唇だけが動く。
"記憶はないのか?"
真っ直ぐに僕を見つめる漆黒の瞳。
言いたいことはすぐ判った。
ちらりと目の端に入る、手首の布。
櫂は反対側の手で、ぎゅっとそれを押さえつけるように握っていた。
僕はその光景から目をそらしながら、
「ああ」
とだけ答えたんだ。
同時に、ほっとする自分も居る。
まだ、芹霞は櫂のことを思い出してないんだと。
浅ましい僕。
櫂の悲痛な顔を思えば、喜べるはずないのに。
櫂は此処まで沈んで…
落ち込んだ表情を見せているというのに。
櫂の哀しみの上に、僕が望む悦びがある。
それが現実問題として、今まで以上に心に重くのしかかってきた。
久遠は、僕と櫂を2人きりにさせてくれたらしい。
「痩せたね…櫂」
そう言うと、櫂は苦笑した。
痩せたけれど、目の強さは変わらない。
どんな格好をしていても、『気高き獅子』は変わらない。
王者の美貌は衰えていない。
僕の自慢の従弟には変わらない。
「似合うね、その格好。
凜ちゃん…だっけ?」
そう笑うと、櫂はむくれたような眼差しを向けた。
櫂の声は回復していなかった。
僕は回復結界を施して、櫂の声帯を癒していた。
櫂の喉仏が動いたと思った時、櫂の唇だけが動く。
"記憶はないのか?"
真っ直ぐに僕を見つめる漆黒の瞳。
言いたいことはすぐ判った。
ちらりと目の端に入る、手首の布。
櫂は反対側の手で、ぎゅっとそれを押さえつけるように握っていた。
僕はその光景から目をそらしながら、
「ああ」
とだけ答えたんだ。
同時に、ほっとする自分も居る。
まだ、芹霞は櫂のことを思い出してないんだと。
浅ましい僕。
櫂の悲痛な顔を思えば、喜べるはずないのに。
櫂は此処まで沈んで…
落ち込んだ表情を見せているというのに。
櫂の哀しみの上に、僕が望む悦びがある。
それが現実問題として、今まで以上に心に重くのしかかってきた。

