僕が見間違えるはずがない。
どんな格好をしていようと、
僕の大切な従弟を間違えない。
また…助けてくれたんだ。
また、駆け付けてくれたんだ。
――玲。俺を信じろ。
生きていた。
ちゃんと生きていた。
ようやく、僕は逢えた!!
色々な思いが頭に巡る。
櫂の最期。
次期当主になって堪え忍んできたこと。
結婚話。
今までの全ての苦痛が込み上げてきて。
そして――
僕の罪も全てが込み上げてきて。
それでも櫂が生きて居たというその実感だけで、
その感動だけで。
僕は報われた気持ちになったんだ。
夢物語ではない。
これは現実。
希望的観測ではなく、
これは真実。
櫂はちゃんと生きている。
嬉しくて嬉しくて
涙が止らなかった。
まるで迷子の子供が親と出会えたかのように。
人前でこんなに泣くのが恥ずかしいと思わなかった。
櫂が此処に居る。
それだけで救われた気分になっていたから。
どんな複雑な蟠(わだかま)りも、
喜悦の涙が洗い流してしまう。
ああ、何でこうして早く駆け付けなかったのか。
後悔すら覚えてしまう。
だけど――
僕は怖かった。
芹霞から向けられていた無言の眼差し。
一定の距離を置いて見つめているその眼差しが、僕を詰っているように思えて。
その瞳の奥で、何を考えているのかが判らなくて。
僕は怖かった。
目をそらさないといけなかった。
僕の…罪故に。

