それは――水。
水は1つに纏まり、錐(きり)のような細い鋭さを放ち、向かっていったのは――
「聖!!!!?」
逃げ込もうとしていた上部の穴。
「周涅、やめろ!!!」
水が穴に入り込む寸前で、朱貴が力を放つ。
炎の力を。
それは穴を守る炎の壁となり、
水を弾き返した…
――…ように思えた。
しかし。
水の勢いは押し返せない。
逆に、炎ごと…穴に押し込まれている気がする。
「朱貴、"約束"を破るか!!!?」
「その為に紫茉を、
お前に渡すものかッッ!!!!」
そう朱貴が叫ぶから。
俺は無意識に、力を発動していたんだ。
同じ炎じゃねえ。
増幅の力。
かつて"約束の地(カナン)"でやってのけたその力は、以降…使うことは出来なかった。
元々緋狭姉の腕環のせいだと思っていた俺は、腕環と俺が上手く同期出来ねえせいだと、すぐ諦めて炎の力だけの修行をしていたのだけれど。
思い出せ、"約束の地(カナン)"にて…
俺は…どうやって櫂と玲の力を増幅させた?
あの時、俺は……。

