ドガッ。
久遠に鳩尾を拳を入れられた。
「せりを守れないのなら、
オレに寄越せッッッ!!!」
犇(ひしめ)く屍を蹴散らして、
激昂の紅紫色の瞳が、刃物のように心に抉ってくる。
無理やりに芹霞を奪われて。
嫌だと俺は芹霞の腕を掴もうと両手を伸ばせば、
久遠がまた俺の腹を殴った。
「嫌嫌駄々を捏ねるな、ガキがッッ!!
"そんなこと"でぐらぐら揺らぐのなら、
お前は舞台から降りろッッッ!!
状況判断できずにせりを危険にさせるなら、お前という存在はただ疎ましく、邪魔なだけだッッ!! 去れッッッ!!!」
俺は――。
『レイくん…誰と戦っているの?』
突如、会話に割って入ったのは旭の声で。
即座に反応したのは久遠。
「紫堂玲、何をしてる!!!」
久遠が声が嗄れていた。
「お前誰を殴ってる!!!?
それは――
由香だぞ!!!?」
え?
「何で――
火をつけるんだ!!!?
早く消せッッッ!!!
由香が…
燃えるッッッ!!!
紫堂玲ッッッッ!!!」

